「日本巫女史/第三篇/第二章/第二節」を編集中
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: 座中の眼は紳士の一身に集まる。紳士は天井を仰ぎ、胸の時計の鎖を弄びながら得意満面? | : 座中の眼は紳士の一身に集まる。紳士は天井を仰ぎ、胸の時計の鎖を弄びながら得意満面? | ||
: 『心懸りに思うから、何卒了簡を定めて、暮らして呉れるようにしな、身の対面の其上で、互の胸も話すべし、此上幾ら云うたとて、此処で埒がつくでなし、道理のつかぬ事だから、別けても亦物事は、余り座中も多ければ、話の出来ぬ訳もあり、身の対面をした上に、委細様子を話すから、その対面を待ちるぞえ、くどく云うまい語るまい……』。 | : 『心懸りに思うから、何卒了簡を定めて、暮らして呉れるようにしな、身の対面の其上で、互の胸も話すべし、此上幾ら云うたとて、此処で埒がつくでなし、道理のつかぬ事だから、別けても亦物事は、余り座中も多ければ、話の出来ぬ訳もあり、身の対面をした上に、委細様子を話すから、その対面を待ちるぞえ、くどく云うまい語るまい……』。 | ||
: | : 巫女は約八分時にして語り終る。座に教員あり、官吏あり、商人あり、芸妓あり、皆一斉に紳士に向って、種々の矢を放つ。四面楚歌の裡にある紳士は、天井を仰ぎ、一唇胸を突出し、右手に鎖をチャラチャラ鳴らし、大口開いて呵々と笑う。 | ||
: 巫女はけげん相に順序よく一々端から皆の顔を見る。 | : 巫女はけげん相に順序よく一々端から皆の顔を見る。 | ||
: 「今度は君がやって見給え」先の紳士が一人の青年を顧る。「僕ですか——まァ止しましょう」と笑う。「やり給え、面白いぞ」「でも僕には呼び出す身内も故人も知らないし、又貴方の様に意中を聞くべき者、ハハハハ女ですね、そう云う者はありませんから」「何うだか疑問だが……じゃ一年の吉凶を見る荒神と云うのをやったらいいだろう」「そうですね、敢て御幣をかつぐ訳でもありませんが、今年丁度厄年に当りますから、一ツそれをやって見ましょう」。青年は巫女の前に進み、茶碗の水に青木の葉を入れ、型の如く右へ三遍廻す。 | : 「今度は君がやって見給え」先の紳士が一人の青年を顧る。「僕ですか——まァ止しましょう」と笑う。「やり給え、面白いぞ」「でも僕には呼び出す身内も故人も知らないし、又貴方の様に意中を聞くべき者、ハハハハ女ですね、そう云う者はありませんから」「何うだか疑問だが……じゃ一年の吉凶を見る荒神と云うのをやったらいいだろう」「そうですね、敢て御幣をかつぐ訳でもありませんが、今年丁度厄年に当りますから、一ツそれをやって見ましょう」。青年は巫女の前に進み、茶碗の水に青木の葉を入れ、型の如く右へ三遍廻す。 |