日本巫女史/総論/第四章
ナビゲーションに移動
検索に移動
第四章 巫女史の材料と其採集方法
巫女史は、各種の学問に関係を有しているので、その材料の如きも、寧ろ多きに過ぎはせぬかと予想したのであるが、され、それ等の材料を蒐集して見ると、此の予想は全く裏切られて、却ってその乏しきに一驚を喫した。これは勿論、私の寡聞と、尚渉猟の足らぬことに由来するのであるが、今のところでは奈何にもすることが出来ぬので、不十分な材料を以て、自ら揣らず、敢て此の稿を起した。而して私が、本史に採用した材料は、(一)巫女の遺跡から得たもの、(二)巫女の使用した遺物から得たもの、(三)巫女に関する記録、(四)学友に設問して得たる報告又は談話、(五)巫女に関する慣習等であった。以下これに就いて、猶お詳しく記述したいと思う。