「日本巫女史/第一篇/第七章/第二節」を編集中
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'''三、社前祭と巫女の職務''' | '''三、社前祭と巫女の職務''' | ||
神に対する観念が固定するにつれて、神を祭る場所も固定した。これが即ち神社の起原である。併しながら、我国の神々は、常には高きところに坐して、人の<ruby><rb>祈</rb><rp>(</rp><rt>コ</rt><rp>)</rp></ruby> | 神に対する観念が固定するにつれて、神を祭る場所も固定した。これが即ち神社の起原である。併しながら、我国の神々は、常には高きところに坐して、人の<ruby><rb>祈</rb><rp>(</rp><rt>コ</rt><rp>)</rp></ruby>いのより(又は突然に)、或は定時に、或は臨時に、此の世へ降って来るのであった。それと同時に、我国の神々は、分霊ということには殆んど無関心であって、一神が百にも千にも分霊するという思想は、古文献にも、原始信仰にも、曾て存していなかったのである。それであるから、我国の神社は、神が降って来たときだけ宿るところであって、神は何時でも社殿の奥に坐するものではないのである。換言すれば、如在の神であって常在の神ではないのである。祭礼の民俗に宵宮があり、祭祀の儀式に帰神の神事があるのは、よく此の事象を説明しているのである。 | ||
然るに神社が固定するにつれて、巫女の社会的地位は、それと比例して、段々と低下せざるを得ぬようになって来た。これは、神がその時々に巫女に憑って託宣をして祭らせたものが、日時と場所が一定するようになれば、一方において男子の神職が用いられるようになり、一方においては巫女の本来の職務は、これが為めに大半まで失うこととなるので、低下すると同時に、軽視されるようになるのは、止むを得ぬ次第であった。 | 然るに神社が固定するにつれて、巫女の社会的地位は、それと比例して、段々と低下せざるを得ぬようになって来た。これは、神がその時々に巫女に憑って託宣をして祭らせたものが、日時と場所が一定するようになれば、一方において男子の神職が用いられるようになり、一方においては巫女の本来の職務は、これが為めに大半まで失うこととなるので、低下すると同時に、軽視されるようになるのは、止むを得ぬ次第であった。 |