日本巫女史/第一篇/第三章/第二節」を編集中

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: 日本紀に誓約ノ字、誓ノ字、祈ノ字、などを<ruby><rb>訓</rb><rp>(</rp><rt>よ</rt><rp>)</rp></ruby>めり、又盟をうかうとよむも同じ。請言の義いのりちかふ事をいへり。源氏物語のこき殿などのうけはしげにのたまふと云ひ、伊勢物語に罪なき人をうけへはと云へるは<ruby><rb>詛</rb><rp>(</rp><rt>ノラ</rt><rp>)</rp></ruby>ふ方に云へり。よて真名本に呪詛と塡たり。古事記にも宇気比<ruby><rb>死</rb><rp>(</rp><rt>コロス</rt><rp>)</rp></ruby>と見えたり。
: 日本紀に誓約ノ字、誓ノ字、祈ノ字、などを<ruby><rb>訓</rb><rp>(</rp><rt>よ</rt><rp>)</rp></ruby>めり、又盟をうかうとよむも同じ。請言の義いのりちかふ事をいへり。源氏物語のこき殿などのうけはしげにのたまふと云ひ、伊勢物語に罪なき人をうけへはと云へるは<ruby><rb>詛</rb><rp>(</rp><rt>ノラ</rt><rp>)</rp></ruby>ふ方に云へり。よて真名本に呪詛と塡たり。古事記にも宇気比<ruby><rb>死</rb><rp>(</rp><rt>コロス</rt><rp>)</rp></ruby>と見えたり。


と言うているが〔九〕、これでウケヒの本質を知ることが出来る。而してウケヒの事例にあっては、「崇神紀」十年七月の武埴安彦が、謀反の条に、
と言うているが〔九〕、これでウケヒの本質を知ることが出来る。而してウケヒの実例にあっては、「崇神紀」十年七月の武埴安彦が、謀反の条に、


: 天皇(中略)。吾聞、武埴安彦之妻吾田媛密来之、取倭香山土裏<ruby><rb>領巾</rb><rp>(</rp><rt>ヒレ</rt><rp>)</rp></ruby>頭<ruby><rb>祈曰</rb><rp>(</rp><rt>ウケヒテ</rt><rp>)</rp></ruby>、是倭国之物実則反之、是以知有事焉。
: 天皇(中略)。吾聞、武埴安彦之妻吾田媛密来之、取倭香山土裏<ruby><rb>領巾</rb><rp>(</rp><rt>ヒレ</rt><rp>)</rp></ruby>頭<ruby><rb>祈曰</rb><rp>(</rp><rt>ウケヒテ</rt><rp>)</rp></ruby>、是倭国之物実則反之、是以知有事焉。
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'''オヨヅレゴト'''
'''オヨヅレゴト'''


神武紀にある「諷歌倒語」の意義に就いては、古くから国学者の間に異説があって、今に定説を聞かぬほどの難問であるが〔一一〕、私は飯田武郷翁が此の語の細註に『万葉集に、狂言香逆言哉云々。とある逆言を、古くサカシマコトと訓り。この逆言はオヨヅレゴトと訓べきよし先達云はれたる、さることなり』とあるを論拠として〔一二〕、諷歌倒語は即ち古きオヨヅレゴトの当て字と断定する者である。而してこれの用例は「天智紀」九年春正月の条に『禁断<ruby><rb>誣妄妖偽</rb><rp>(</rp><rt>タハコトオヨヅレコト</rt><rp>)</rp></ruby>』と載せ、「天武紀」には『<ruby><rb>妖言</rb><rp>(</rp><rt>オヨヅレゴト</rt><rp>)</rp></ruby>』と見えている。「万葉集」巻三石田王の挽歌の一節に『<ruby><rb>妖言</rb><rp>(</rp><rt>オヨヅレ</rt><rp>)</rp></ruby>か吾が聞きつる、<ruby><rb>狂言</rb><rp>(</rp><rt>タハコト</rt><rp>)</rp></ruby>か我が聞きつるも』とあり、同集巻一七に長逝せる弟を<ruby><rb>哀傷</rb><rp>(</rp><rt>カナ</rt><rp>)</rp></ruby>しむ長歌の一節に『玉梓の使の来れば、嬉しみと吾が待ち問ふに、<ruby><rb>妖言</rb><rp>(</rp><rt>オヨヅレ</rt><rp>)</rp></ruby>の<ruby><rb>狂言</rb><rp>(</rp><rt>タハコト</rt><rp>)</rp></ruby>かも』とあるのは、共に此の語の呪言としての内容を考えさせるものがある。私は神武紀の諷歌倒語は、かの流言蜚語の意とは全く趣きを異にし、呪言とあるべき(殊更に語を<ruby><rb>倒</rb><rp>(</rp><rt>サカシ</rt><rp>)</rp></ruby>まにする事もある)を斯く記したものと信じているのである。
神武紀にある「諷歌倒語」の意義に就いては、古くから国学者の間に異説があって、今に定説を聞かぬほどの難問であるが〔一一〕、私は飯田武郷翁が此の語の細註に『万葉集に、狂言香逆言哉云々。とある逆言を、古くサカシマコトと訓り。この逆言はオヨヅレゴトと訓べきよし先達云はれたる、さることなり』とあるを論拠として〔一二〕、諷歌倒語は即ちオヨヅレゴトの当て字と断定する者である。而してこれの用例は「天智紀」九年春正月の条に『禁断<ruby><rb>誣妄妖偽</rb><rp>(</rp><rt>タハコトオヨヅレコト</rt><rp>)</rp></ruby>』と載せ、「天武紀」には『<ruby><rb>妖言</rb><rp>(</rp><rt>オヨヅレゴト</rt><rp>)</rp></ruby>』と見えている。「万葉集」巻三石田王の挽歌の一節に『<ruby><rb>妖言</rb><rp>(</rp><rt>オヨヅレ</rt><rp>)</rp></ruby>か吾が聞きつる、<ruby><rb>狂言</rb><rp>(</rp><rt>タハコト</rt><rp>)</rp></ruby>か我が聞きつるも』とあり、同集巻一七に長逝せる弟を<ruby><rb>哀傷</rb><rp>(</rp><rt>カナ</rt><rp>)</rp></ruby>しむ長歌の一節に『玉梓の使の来れば、嬉しみと吾が待ち問ふに、<ruby><rb>妖言</rb><rp>(</rp><rt>オヨヅレ</rt><rp>)</rp></ruby>の<ruby><rb>狂言</rb><rp>(</rp><rt>タハコト</rt><rp>)</rp></ruby>かも』とあるのは、共に此の語の呪言としての内容を考えさせるものがある。私は神武紀の諷歌倒語は、かの流言蜚語の意とは全く趣きを異にし、呪言とあるべき(殊更に語を<ruby><rb>倒</rb><rp>(</rp><rt>サカシ</rt><rp>)</rp></ruby>まにする事もある)を斯く記したものと信じている。


此の一節の擱筆に際し、特に言うて置かねばならぬ事は、以上に列挙した呪言なり、呪文なり、又は祝詞なりは、必ずしも巫女に限り用いたもので無いと云う点である。否、此の反対に文献の示すところによれば、巫女よりは覡男が却って多く用いていたことを証明しているのである。従って此の一節は厳格なる意味から言えば、巫女史の埒外を越えた点が尠くないのであって、広義の呪術史の一節たるが如き観を呈するに至った。
此の一部の擱筆に際し、特に言うて置かねばならぬ事は、以上に列挙した呪言なり、呪文なり、又は祝詞なりは、必ずしも巫女に限り用いたもので無いと云う点である。否、此の反対に文献の示すところによれば、巫女よりは覡男が却って多く用いていたことを証明しているのである。従って此の一節は厳格なる意味から言えば、巫女史の埒外を越えた点が尠くないのであって、広義の呪術史の一節たるが如き観を呈するに至った。


併しながら、巫女が覡男に先だって発生し、後世まで巫覡と並び立っていたことは事実であるので、これ等の呪言や、呪文や、祝詞なども、その始めにあっては、巫女が創作して、覡男が後唱したものかも知れぬのである。且つ如上の呪言や、呪文、その他の一々に就いて言うも、どれが巫女の唱えたもので、どれが覡男が唱えたものか、その区別は、今日からは到底知ることが出来ぬので、姑らく併せ掲ぐることとしたのである。万一の誤解を虞れて、此の事を附記する次第である。
併しながら、巫女が覡男に先だって発生し、後世まで巫覡と並び立っていたことは事実であるので、これ等の呪言や、呪文や、祝詞なども、その始めにあっては、巫女が創作して、覡男が後唱したものかも知れぬのである。且つ如上の呪言や、呪文、その他の一々に就いて言うも、どれが巫女の唱えたもので、どれが覡男が唱えたものか、その区別は、今日からは到底知ることが出来ぬので、姑らく併せ掲ぐることとしたのである。万一の誤解を虞れて、此の事を附記する次第である。
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