「日本巫女史/第一篇/第二章/第一節」を編集中
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而して神(精霊として)を悪用し、征服し、支配した呪術にあっては、「応神記」にある秋山之下氷壮夫と春山之霞壮夫の兄弟の母の行える所作が、よくこれを説明している。曰く、 | 而して神(精霊として)を悪用し、征服し、支配した呪術にあっては、「応神記」にある秋山之下氷壮夫と春山之霞壮夫の兄弟の母の行える所作が、よくこれを説明している。曰く、 | ||
: その兄なる子を恨みて、即ち伊豆志河の河島の節竹を取りて、八目の荒籠を作り、その河の石を取り、塩に合えて、その竹葉に裹み、<ruby><rb>詛言</rb><rp>(</rp><rt>トコヒイ</rt><rp>)</rp></ruby>はしめけらく、此の竹葉の青むが<ruby><rb>如</rb><rp>(</rp><rt>ゴト</rt><rp>)</rp></ruby>、此の竹葉の萎むが如、青み萎み、又此の塩の盈ち乾るが<ruby><rb>如</rb><rp>(</rp><rt>ゴト</rt><rp>)</rp></ruby>盈ち乾よ、又此の石の沈むが如沈み臥せ。かく詛ひて、<ruby><rb>烟</rb><rp>(</rp><rt>カマド</rt><rp>)</rp></ruby>の上に置かしめき。是を以て其の兄、八年の間<ruby><rb>干</rb><rp>(</rp><rt>カワ</rt><rp>)</rp></ruby>き萎み病枯しき。<ruby><rb>故</rb><rp>(</rp><rt>カレ</rt><rp>)</rp></ruby>その兄患ひ泣きて、その御祖(中山曰。母の意)に請へば、即ち其の<ruby><rb>詛戸</rb><rp>(</rp><rt>トコヒド</rt><rp>)</rp></ruby> | : その兄なる子を恨みて、即ち伊豆志河の河島の節竹を取りて、八目の荒籠を作り、その河の石を取り、塩に合えて、その竹葉に裹み、<ruby><rb>詛言</rb><rp>(</rp><rt>トコヒイ</rt><rp>)</rp></ruby>はしめけらく、此の竹葉の青むが<ruby><rb>如</rb><rp>(</rp><rt>ゴト</rt><rp>)</rp></ruby>、此の竹葉の萎むが如、青み萎み、又此の塩の盈ち乾るが<ruby><rb>如</rb><rp>(</rp><rt>ゴト</rt><rp>)</rp></ruby>盈ち乾よ、又此の石の沈むが如沈み臥せ。かく詛ひて、<ruby><rb>烟</rb><rp>(</rp><rt>カマド</rt><rp>)</rp></ruby>の上に置かしめき。是を以て其の兄、八年の間<ruby><rb>干</rb><rp>(</rp><rt>カワ</rt><rp>)</rp></ruby>き萎み病枯しき。<ruby><rb>故</rb><rp>(</rp><rt>カレ</rt><rp>)</rp></ruby>その兄患ひ泣きて、その御祖(中山曰。母の意)に請へば、即ち其の<ruby><rb>詛戸</rb><rp>(</rp><rt>トコヒド</rt><rp>)</rp></ruby>を返さしめき。こゝに其の身<ruby><rb>本</rb><rp>(</rp><rt>モト</rt><rp>)</rp></ruby>の如くに<ruby><rb>安平</rb><rp>(</rp><rt>タヒラ</rt><rp>)</rp></ruby>ぎき。 | ||
とある。これは明白に神を悪用し、且つ神を征服し、支配する信仰を現わしたものであって、然もその母は家族的巫女たることを明白に示している。ただ、此の呪術に就いて考うべきことは、此の母なる者は、新羅より我国に投化せる天ノ日矛に由縁ある者なるがゆえに、此の呪術は我国固有のものか、それとも新羅より将来したものが、その何れであるかの点である。併しながら、現在の学問の程度では、両者の区別を截然と断定する手掛りが無いので、今は姑らく我国固有のものとして取り扱うこととした。 | とある。これは明白に神を悪用し、且つ神を征服し、支配する信仰を現わしたものであって、然もその母は家族的巫女たることを明白に示している。ただ、此の呪術に就いて考うべきことは、此の母なる者は、新羅より我国に投化せる天ノ日矛に由縁ある者なるがゆえに、此の呪術は我国固有のものか、それとも新羅より将来したものが、その何れであるかの点である。併しながら、現在の学問の程度では、両者の区別を截然と断定する手掛りが無いので、今は姑らく我国固有のものとして取り扱うこととした。 |