日本巫女史/第一篇/第八章

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日本巫女史

第一篇 固有呪法時代

第八章 物質文化に於ける巫女の職務

巫女は職務として、人間を詛う方面と、事象を占う方面との両面を有していた事は屡述した。此の立場に起って巫女の職務を分類する方が、精神文化の物質文化のと分類するよりは妥当であると一度は気が付いたのであるけれども、更に巫女の職務を仔細に考覈すると、啻に此の両面ばかりではなくして、他に刀自として造酒を掌り、収税者として幣帛を取り扱い、交通の保護者として、航海に従事するなどの職務があって、かなり複雑しているので、不本意ながら此の分類を企てたのである。勿論、是等のことは、巫女の本質的の職務ではなくして、単に巫女が社会的に利用されたに過ぎぬのであるとも言えるのであるが、そうなると、詛うとか、占うとか云うことも、又た社会的に利用されたものとも言えるので、愈々その分類が困難になるのである。そこで不充分ではあるが、姑らく此の分類に従って記述することとした。